岐阜県の山歩き     RAKUの写真館 メモ


 はじめて自分のカメラを手に入れたのは、18歳の時。父親が、一眼レフを買ってやるというので、いくつもカタログを集めて見比べた。欲しかったニコンは高価で手が出せず、迷ったあげくペンタクッスSPFを購入。仲間と出かけた夏山やキャンプにはいつもザックの中にあった宝物。このカメラの前で仲間や花や山が時を止めた。頑強な金属ボディーのSPFは今では露出計が壊れて作動しないが、十分に現役で活躍する名機である。

 SPFの露出計の修理が不可能となり、2代目はペンタックスMEスーパー。ペンタックスが小型化の道を歩み始めた初期の機種。小さいことが機動力を発揮し、接写リング1つをポケットによく山に持って出かけた。塗料は落ち、傷もついたが、使いやすくお気に入りの機種であった。

 当初から最も欲しいと思っていた機種が、ペンタックス67。6×7サイズの巨大な一眼レフ中判カメラ。定価で30万円もしたので、とても買えなかったことから、中古店で安く購入。この重いカメラと三脚をかついで野山に出かけた。さすが67、写真の出来はすばらしいが、何しろ機動力がなく、写真撮影オンリーで出かける時にしか持ち出せない代物。本格的に写真を趣味する時がくれば使おうと思っていたが、いつの間にかデジタルの時代となり、使用頻度は極めて少ないものとなった。フジGS645S

 その頃、知り合いの方から、使っていないフジGS645Sを買わないかと言われた。GS645Sはレンズ交換のできないレンジファインダーの中判カメラ。新品同様で定価の半額だったこともあって、衝動的に譲ってもらった。広角で風景写真向き。マニュアルカメラであり、ピントも合わせづらいし、露出計も当てにならない。しかし、35mm一眼レフと変わらない大きさで6cm×4.5cmのフィルムサイズは魅力だ。これなら、3000mの山にも持ち上げられる。ボディーが欠けたり傷がついたりしたが、レンズガードのかっこいいGS645Sは、山や祭りで大活躍をし、いい写真を残してくれた愛機となった。
ペンタックスLX
 2006年にお気に入りのMEスーパーのシャッターが切れなくなる故障が起きた。これを機会に、前から欲しかったペンタックスLXの中古を購入。LXはペンタックスのマニュアル一眼では最高級機種で防塵防滴性能の高いボディ構造を持つ。もちろん、現在は製造中止となっているが、当時はボディだけで15万円と、とても手が出せるものではなく、ようやく手に入れたときは本当にうれしかった。花の撮影を中心にフィールドに持ち出したい機種であるが、これも時代の波にのまれて使用する機会は少ないものとなった。

 2000年に入るころから、デジタルカメラが普及し始めた。当初は画素数も少なく、銀塩カメラに比べると写真の出来は悪く、山のHP用の写真専用に安物を購入。当初の画像を見てもわかるようにひどい写りである。デジタルカメラの進歩は目覚ましく、メモリー量や画素数が増えていき、安いカメラでも画像はきれいになってきた。デジタルカメラは銀塩カメラと違い、買ったとたんに古くなり、どんなに高いカメラを買っても将来その価値が維持されることはない。こうしたことから、デジタルカメラの時代になっても、本格的な写真は銀塩に任せ、山歩きの記録用に安いコンパクトデジタルを購入。1回の山行で100〜300枚の写真をとり、また落としたり濡らしたりと酷使したことで故障が続き、3〜4台のカメラを更新した。

 そんな時期にネット中古でLUMIX DMC-FT2を見つけた。いわゆるタフカメラと言われるアウトドア専用機種で、水深10mまでの防水・防塵、-10度の耐低温対応デジタルカメラを格安で購入。雪の中に落としたり岩にぶつけたりして、外観は傷だらけになったが、今でも現役で活躍し、何万回とシャッターを切った愛機である。

 しかし、コンデジでは写真に限界があり、大伸ばしするにはそれなりに写りのいい機種が必要となる。コンデジと一緒にフジGS645Sをザックに入れて歩いたが、流石に時代の流れには勝てない。フィルムの入手困難や現像に時間がかかるなどにより、本格的な写真撮影もデジタルカメラに移行。銀塩カメラのレンズが利用できることからメーカーをペンタックスとし、K100D 、K-x、K-5Usと乗り継いだ。ローパスフィルターレスのK-5Usは祭りや日常の撮影に活躍している。

 これらの一眼はきれいな写真を撮ることできるが、山に持ち上げると機動性がない。歩きながらいい場面に遭遇した時にすぐにシャッターが切れる機種がほしい。そこで写りのいいコンデジの中からリコーGR DIGITALVの中古を格安で購入。28mmの単焦点レンズではあるが、風景写真にはこれで十分。小型でポケットに入ることから、すぐに取り出せる。日常のスナップや集合写真撮影には頻繁に使用し、仕事に持ち歩くことも増えた。

 2019年に写真サークルに加入したことにより、撮影頻度は増え、展覧会には全紙のプリントサイズに伸ばさなければならない。山以外ではK-5Usが主役となるが、山で使用するGR DIGITALVではセンサーサイズが1/1.7型と小さいことから大伸ばしに限界がある。やはりAPS-Cサイズがほしい。

 リコーGRなどそのサイズを持つ小型カメラをいろいろ比較した結果、キャノン EOS-M に行き当たった。キャノン初のミラーレス一眼であるが、フォーカスや録画のスピードが遅いなど酷評の機種であり、中古市場では格安で出回っている。これにパンケーキレンズEF-M 22mmを装着すればコンデジとまではいかないが、ベルトに付けて持ち歩けるスモールサイズですぐに取り出せる。ピント合わせにもたつく時があるが、動体撮影をしない山においては、全く問題はない。タッチパネル操作ができ、機能は充実しており、いい写真がとれる。レンズは35mm相当で画角はやや狭いが苦になるほどではない。今、山での風景写真はこのカメラが愛機となっている。


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